新春対談 高野市長×東京外国語大学 SDGsってナンだ!? ミライを考えよう 最近、いろいろなところで耳にする「SDGs」、どんなものかよく知らない、 今さら誰かに聞けないなどと思っている方も多いのではないでしょうか。 今号では、東京外国語大学でSDGsに関連する活動をしている学生の皆さんに、 活動や身近なSDGsの取組等についてお話を伺いました。 SDGsとは  世界全体に目を向けてみると、地球環境の悪化や、格差の広がりで貧しい人々が取り残されており、このままでは世界は立ち行かなくなるという危機意識から、将来世代のために環境や資源を守り、より良い社会にするために立てられた目標がSDGsです。  令和12年(2030年)までに目指すべき、貧困や教育、環境等の17の目標から構成されています。目標の達成には、国や企業等の取組はもちろん、私たち一人ひとりの協力がとても大切です。 たふえね 藤巻太一さん 言語文化学部モンゴル語科2年生。環境系サークル「たふえね」に所属。同大学の学生に環境問題や気候変動に関する情報発信、カーボンニュートラルへの啓発活動を行う。 カーボンニュートラルに向けて府中市と連携していきたいです −誰でも取り組める身近なSDGsにはどのようなものがあると思いますか。  一人ひとりがSDGsについて考えていくことだと思います。SDGsの枠組みで考えたら良い取組だと思えることはいっぱいあって、節電対策や生ごみを堆肥に変えるコンポストの使用も取組の1つだと思います。また、戦争や内戦によって地域の方々が苦しんでいるウクライナや中東等に対して、少額でも寄付をすることなどもSDGsにつながると思っています。 −府中市と一緒にやってみたいことはありますか。  府中市役所の方々と一緒に、今後の府中市のまちづくりの展望や、どのようにエネルギーを管理する施策を進めていくのかなどを考えていきたいです。あとはエネルギーの自給自足を行えれば面白いと思っています。例えば市内の施設やその屋上を使って、太陽光発電等のクリーンなエネルギーを自分たちで作って使用していくことで脱炭素化を進めていけると思います。 −目標を教えてください。  団体の活動として、やれること、やったことを1つずつ増やし、大学と協力してカーボンニュートラルに向けて動いていけたらと思っています。また、当サークルには意欲的なメンバーが多いので、府中市との連携も積極的に行っていきたいと思います。 カーボンニュートラル…二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出をできるだけ削減し、削減しきれなかった分を植林や森林管理等によって二酸化炭素を吸収することで、差し引きゼロにすること。 高野市長から  節電対策やクリーンエネルギーの推進等は、市民の皆さんも非常に関心が高い問題です。市民協働のまちづくりを目指していますので、ぜひ、いろいろな交流をやっていきましょう。  また、本市に対してもカーボンニュートラルに向けたアドバイスをしていただければと思います。 くらふと 鈴木詩織さん 言語文化学部インドネシア語科2年生。国際理解教育サークル「くらふと」代表。市内等の小・中学・高校生を対象に異文化理解や世界の諸問題に関するワークショップを行う。 いろいろな方にSDGsに関心をもってほしいです −誰でも取り組める身近なSDGsにはどのようなものがあると思いますか。  フードロスに取り組むことだと思います。例えば、形が悪い野菜や果物でも問題なく食べられますし、賞味期限が近いものから消費するなど、できることが多いのではないかと思います。あとはSDGsに興味を持つこと。テレビやインターネットでも、社会でこういう問題があるんだという気づきにはなると思うので、そういうところから知って興味を持ってほしいと思います。 −カナダへの留学経験があるそうですが、そこで感じたことはありますか。  高校生の夏休みにカナダのビクトリアにホームステイしていたことがあります。そこは街中にペットボトルに水を入れる機械が設置されていました。市民もペットボトルを買わないのが当たり前で、ペットボトルのごみもとても少なかったです。日本でもこういう取組が増えたらごみを削減する意識につながると感じました。 −府中市と一緒にやってみたいことはありますか。  当団体は学校や交流センター等で活動しているので、市民まつりや市民活動センター「プラッツ」等、たくさんの交流があるスペースでワークショップをやってみたいと思っています。 −目標を教えてください。  今は主に子どもを対象に教育活動を行っているのですが、これからは大人にもSDGsについて考えてもらうワークショップを開きたいと思っています。今年は他の大学の授業に参加させてもらったり、吉祥寺で市民に向けてワークショップを開いたりと機会が増えてきているので、それをもっと広げていきたいです。 高野市長から  フードロスの問題は、市民の皆さんが身近に感じ、理解していただけるものだと思います。食べないものは買わない、そういうところから始めることは大事なことですね。  また、最近は市内でも徐々にイベントができるようになってきました。皆さんに参加していただける機会が増えてくると思いますので、ぜひ、一緒にワークショップ等を開催していきましょう。 東京外国語大学って どんなところ? ・今年で建学150周年  ・世界の言語や文化、国際的な問題の研究・教育の大学 ・世界約80か国からの留学生、600人ほどが在籍 ・学べる外国語の数は、82言語。国立大学では唯一の外国語大学 学生NGO ALPHA 木村太一さん 国際社会学部英語科2年生。学生NGO「ALPHA」に所属。フィリピン農村部で小学校の建設や現地の子どもたちに向けたワークショップ等を行う。 私たちの活動から社会に影響を与えていきたいです −誰でも取り組める身近なSDGsにはどのようなものがあると思いますか。  フィリピンに行った際、日本と比べて道端にごみが多いと感じました。そこで子どもたちにごみ拾いゲームやごみの分別ゲームを行ったところ、意識の変化が現れたという実感がありました。同じように、私たち一人ひとりがごみの分別やポイ捨てをしないということを心掛けることで、自然環境を守ることにつながると思います。 −府中市と一緒にやってみたいことはありますか。  私たちはフィリピンに渡航していない間も国内活動を行っていて、地域のイベントへの参加や、小・中学校でワークショップを行ったりしています。これからは府中市の小・中学校でも、SDGsやフィリピンのことに関するワークショップができたらと思っています。また、市内のイベントにも出展して、フィリピンのフェアトレード製品等を販売できたらと考えています。 −フィリピンの教育問題の現状を教えてください。  私たちが支援している農村部では、子どもたちの数に対して教室の数が足りないという問題があります。今年、教室建設を行った際には、さらに図書館が欲しい、という要請もありましたので、子どもの数に対して教育の設備が足りていないという印象を受けました。 −目標を教えてください。  私たち大学生がボランティア活動を行うというのは、子どもたちや、私たちの上の世代にも大きな社会的インパクトを与えられる活動だと思っています。今回、市長との対談の機会をいただいたからには、府中市と連携した国内活動を行いたいと考えています。 高野市長から  未来を担う子どもたちに、いかに世界とのつながりを持ってもらうか、これが子どもたち自身の成長に直接的につながると思います。  本市の子どもたちに、明るい世界を作っていく担い手になってもらいたいですし、おそらく子どもたちもそう願っていると思いますので、学校へ赴いたり、イベントに参加して積極的に活動していただきたいと思います。 くりふ 高橋あみさん 言語文化学部ポルトガル語科2年生。ボランティアサークル「くりふ」副代表。府中・調布市で外国にルーツのある子どもたちに対して学習支援活動を行う。 活動のきっかけは興味や関心からでした −誰でも取り組める身近なSDGsにはどのようなものがあると思いますか。  興味のある分野のボランティアに参加することだと思います。SDGsに取り組もうとすると身構えてしまう方が多いと思いますが、自分の興味のある分野なら続けられるし、強制感もありません。私も「くりふ」に参加するきっかけは、日本語教育への興味からでした。興味・関心から始まった活動でもSDGsのゴールにつながると思うので、まずは興味があることから始めるのがいいと思います。 −市内で日本語教育活動をしているそうですね。  来てくれる子どもたちの日本語のレベルも様々で、日常会話ならできる子もいますし、やっと平仮名・片仮名を学び始めたという子もいます。私たちは日本語を母国語にしていますが、人に教えるとなると難しくて、私たちが普段何気なく使っている日本語も「何で?」と聞かれることがあります。そうすると私たちもうまく説明できないことがあり、毎回試行錯誤しながら活動しています。 −府中市と一緒にやってみたいことはありますか。  市内の小・中学校とも連携できたらいいなと思っています。まだ学習に関して困っているお子さんも多くいると思いますので、学生が市内の小・中学校に行って学習支援等の活動もできたらいいと考えてます。 −目標を教えてください。  日本語教育の質を高めたいと考えています。今、私たちは試行錯誤しながら学習支援に取り組んでいるのですが、ちゃんと日本語教育のことを学んだり、どうしたらいいのかというのを話し合ったりして、質の高い教育を目指していきたいです。 高野市長から  できることから始め、関心のある目標に自発的に携わっていく方が1人でも増えていくと、SDGsのゴールにつながると思います。  また、日本語をいろいろな国の子どもたちに教えるというのは本当に大変なことだと思います。一人ひとりの子どもたちに向き合って、支援をしていただき、お互いに多様性を認め合う地域社会になっていくことを願っています。 Mres 三木悠史さん 言語文化学部英語科2年生。ボランティアサークル「Mres」に所属。アジア、アフリカでコミュニティセンターや住居等の建設支援のボランティアを行う。 皆さんの日常の行動がSDGsにつながっています −誰でも取り組める身近なSDGsにはどのようなものがあると思いますか。  「バイコット」という活動があります。自分の信条やポリシーに合わないものを買わない「ボイコット」という言葉をもじったもので、自分の信条やポリシーに合ったものを応援するために買うというのが「バイコット」です。環境に優しい商品等を消費者が買うことで、企業がそのニーズに合わせて環境に優しい商品をさらに増やすことにつながります。すごく簡単な活動なので、すぐに実践できると思います。 −府中市と一緒にやってみたいことはありますか。  府中市も空き家が多いと聞きましたので、空き家問題に関する取組を一緒にやってみたいです。 −空き家を活用するアイデアはありますか。  例えば、サードプレイスという言葉があります。家庭と学校等の居場所がファースト、セカンドであり、さらに3つ目の居場所が大事だというものです。子どもたちのためや、地元の方たちが交流できる場所にするなどといった活用法があると思います。 −目標を教えてください。  現在、東南アジアに行って家を建てるという、この団体に所属していなければできない活動を行っていますので、こういった機会を増やしていきたいです。 高野市長から  最近は市内でも子ども食堂が非常に多くなってきていて、子どもたちにとってのサードプレイスになっていると感じています。地域の多世代が交流する場というのも求められていますので、空き家の所有者の方と皆さんがつながって、新しい展開ができるようにしていきたいと思います。  これからも世界の国々とのつながりを大切に、日本との懸け橋をたくさん作っていただきたいと思います。 テレビ広報「まるごと府中」 拡大版 新春対談を放映中  1月14日(土)まで、テレビ広報「まるごと府中」の放映時間を30分に拡大して、新春対談をお届けしています。また、放送内容は市のHPでも公開しています。 問合せ 秘書広報課(電話:335-4019) 日時 1月14日(土)までの午前9時、午後8時(30分番組) ※10日から14日は放送時間が異なります。 番組 J:COMチャンネル(11チャンネル)