音楽は映像に彩りを添えるなくてはならないもの ノグチリョウ 作曲家。昭和63年(1988年)千葉県生まれ、6年前から府中市在住。大学卒業後、IT企業勤務を経て音楽制作会社に転職。数々の音楽制作を経験した後に独立。現在は作曲家として映画やテレビドラマ、CM等に数多くの楽曲を提供する。 決して諦めなかった作曲家への道 小さい頃から作曲家を目指していたのでしょうか。  幼少期からクラシックピアノを習っていて、中学生の頃からはバンドも始めました。中学1年生のとき、あるゲームの音楽の美しさに感銘を受け、漠然と映像に音楽を付ける作曲家になることを意識し始めました。そして、高校2年生のときに観た映画「海猿」の壮大な音楽に衝撃を受け、映画音楽の作曲家を志しました。音楽大学で作曲の勉強をしようと、音大受験用の塾に通い始めたのですが、譜面を読むのが大の苦手だったので、塾の先生に音大は諦めた方がいいと言われ、そこで一度作曲家は諦めて一般の大学に入学し、卒業後はIT企業に入社しました。 音楽の仕事を始めたのはいつ頃ですか。  社会人になってからも、趣味で音楽は続けていましたが、やはり音楽に関わる仕事への憧れが強く、人生は一度きりだ!と思い切って27歳のときに音楽制作会社に転職しました。 転職してからはどのような仕事をしていたのでしょうか。  音楽制作会社では、音楽プロデューサーとして色々な仕事をしていたのですが、あるとき、音楽を社内で制作することになったプロジェクトで作曲の仕事を僕が手掛けることになりました。その楽曲の評判が良くて、そこから作曲の依頼がどんどん増えてきて、プロデューサーの仕事より作曲家としての仕事が多くなってきたので、音楽制作会社を4年で退社し、作曲家として独立しました。現在は、「劇伴」といって、映画やテレビドラマ等で流れる音楽や、CMで使う楽曲制作等の仕事をしています。 漂っているメロディーをつかむ 劇伴音楽というのは映像作品にとってどういう存在ですか。  映像で表現しきれない部分を底上げしたり、演者さんの感情表現を後押ししたり、映像に彩りを添える存在だと思います。音楽で作品の印象が変わってしまうのでとても大事です。 曲を作るうえで大事にしていることはありますか。  一番大事なのは映像で、いかに映像を音楽で引き立てられるか、ということを大事にしています。また、どんな方が聴いても、良いなと思ったり、泣けたりするポピュラリティ(大衆性)があるメロディーを作るよう心掛けています。 ノグチさんの曲の作り方を教えてください。  自分から何かを生み出して曲を作るという感覚が実はあまりないんです。ちょっと説明が難しいのですが、僕の中に曲をつかむというイメージがあって、頭の中に漂っているメロディーをつかんで、それを降ろすっていうイメージで作曲しています。自分の中でメロディーを練るというよりも、漂っているメロディーをつかんでそれをコンピューターで再現するというのが僕の作曲法です。最近作ったある曲は、自転車で息子を保育園に迎えに行くときにつかみました。それくらい突然降りてくることがあるんです。 四中の歌声に魅了されて 最近ではテレビドラマ日曜劇場「Get Ready!」を担当されてますね。ドラマの音楽はどうやって作るのでしょうか。  ドラマの台本を2話分ぐらいと、ドラマの編集前の映像をもらってイメージを膨らませて作っていきます。そのイメージからいろいろなシーンに使えるように、30曲ほど作ります。その後、ドラマの選曲家の方が30曲の中からシーンに合った曲を選んで映像に当てていくんです。なので実は僕もそのドラマが放送されるまでどの曲が使われるかは知らないんですよ。実際にドラマを観て、自分の視点にはない音楽が選ばれているのはすごく面白いです。そこでこの曲使うのか!って(笑)。 「Get Ready!」では府中第四中学校の合唱部とコラボしたそうですね。  四中の合唱部が全国大会で金賞を受賞したことを知って、僕もいつかコラボしたいと思っていたところに「Get Ready!」の話が来たので、良い機会だと思いました。そこで、四中合唱部顧問の横田先生に直接連絡したところ快諾いただき、コラボが実現しました。 合唱はどのようにレコーディングしたんですか。  四中の音楽室で録音しました。プロの録音用のマイクをずらっと並べた前で、僕が作った曲を合唱部の皆さんに歌ってもらいました。指揮する横田先生のオーラと生徒の皆さんの歌声は圧巻で、とても満足する仕上がりとなりました。なので「Get Ready!」のサウンドトラックの1曲目は、四中の皆さんの歌で始まるようになっています。また、先日、四中の春のコンサートにご招待いただいて伺ったのですが、久しぶりに聴く皆さんの歌声が素晴らしすぎて、全曲涙してしまいました。 作曲家 ノグチリョウ お休みの日はどう過ごしていますか。  子どもと大國魂神社によく行きます。敷地が広いので、本殿の裏の方まで探検しています。あとは東京競馬場のキッズスペースにも行きます。子どもが遊ぶものも食べるところも何でもあるし、大人はビールも飲めるし、これからの季節は最高ですよね(笑)。 府中に6年住んでみてどう感じますか。  非常に暮らしやすいです。府中駅前にはショッピングセンターや映画館、色々な専門店もそろっていてとても便利ですね。また、僕は独立したときに会社の設立を経験してるのですが、府中は税務署や法務局等の官公署がコンパクトにまとまっているので全て自転車で回ることができ、起業する人にも便利なところだと感じました。 今後の目標や夢はありますか。  目標は日本アカデミー賞の音楽賞にノミネートされることです。以前はゴールデンタイムのテレビドラマの音楽を制作したいという目標があったのですが、有り難いことにそれが「Get Ready!」で叶ったので、次は新たな目標を掲げています。そして、いずれは世界で音楽を作る仕事がしたいですね。 ノグチさんにとって作曲とは。  僕を生かしてもらっているものですね。先ほどお話ししたとおり、自分で作ってるっていう感覚はないんですよ。つかんで降りてきてもらってるメロディーを僕が曲にしてるだけなので、作曲させてもらっていることに感謝しています。 check! これまでに担当した主な作品 ドラマ TBS日曜劇場「Get Ready!」 日テレ系「ケイ×ヤク あぶない相棒」 Netflix「サンクチュアリ-聖域-」 「Get Ready!」Blu-ray&DVD 8月4日(金)発売 製作著作・発売元:TBS 発売協力:TBSグロウディア 販売元:TCエンタテインメント 映画 「ザ・ファブル」シリーズ 「フード・ラック!食運」 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 Blu-ray&DVD好評発売中/発売・販売元:松竹 (c) 2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会 公開中! 「おとななじみ」 CM 「タクシーアプリ GO」、「クラシエ HIMAWARI」、「明治 R-1」