手嶋遥公開制作プロセス
最終更新日:2024年5月9日
2024年4月20日から始まった公開制作。ここでは、その過程をご紹介します。
5月3日
本画に使用するパネルが8枚、公開制作室に届きました。かなり大きな絵になりそうです。そして、ついに筆で描き始めた手嶋さん。一本一本、集中しながら線を選び、進めていきます。日本画の素材は修正が難しいため、スーッと動かす手の様子に、見ているこちらも緊張感が漂います。構成を考えるためにスケッチをもとに描いた小さな下絵、小下図(こしたず)をそばに置き、何度も確認しながら描いていきます。小下図を用意したあと、本画とは別に原寸大で大下図(おおしたず)を描いてから本画にうつるのが一般的な日本画の手順ですが、手嶋さんは大下図をあえて用意せず、小下図から本画を描いていきます。
4月24日、28日
手嶋さんは引き続き浅間山でスケッチしつつ、大画面の構想を練っています。描いていた木が先日切り倒されてしまい、切り株に変更になった部分があったようです。下張りに使う和紙はそのままではサイズが合わないため、手で割いて繊維を出してから糊でつなぎ、大きな画面にしていきます。
日本画は、実際に描きはじめるまでの作業が長いと手嶋さんは言います。今日も和紙に滲みどめの礬水液(どうさえき)を引き、着々と描くための準備を進めています。試しに描いてみた絵を鮮やかな下地の上に重ねて壁に貼り、実際の色合いも確認していました。色は、描き進めながら決めると迷走してしまうそうで、構成の段階でしっかりと決めるタイプだそうです。
初日 4月20日
午前中に浅間山でスケッチをしてきた手嶋さん。視点を変えて描いてきたスケッチを地形に合わせて並べ、壁に貼るところからスタートしました。水干絵具に膠(にかわ)を混ぜたりと、日本画ならではの工程が見られます。大きく浅間山を描くにあたり、土台となる麻紙(まし)の色を決めるべく、オレンジ色など鮮やかな絵の具を画用紙に塗ってみます。和紙から透けて見えるため、作品の印象を大きく左右する重要な色です。
絵具の滲みをおさえる礬水液(どうさえき)を引いた和紙と引かない和紙、その両方で描いてみて、質感を試します。礬水液とは、膠水(にかわすい)と明礬(みょうばん)の混合液で、絵具の定着を良くするものです。制作を間近で見られることにまだ慣れない手嶋さん、少し緊張気味です。
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