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2024年5月1日 市長コラム132「注伝(ちゅうでん)

注伝(ちゅうでん)

 社会人になって40年が経過しました。そのイロハを教えてくれた会社での仕事は婦人既製服の百貨店営業担当。自社ブランドの売り場に商品を納入するのが主な業務でした。最初の試練が注伝。注文伝票の略ですが、百貨店の仕入れ担当(バイヤー)に商品の魅力や売上げの状況を説明し、機会損失がないよう、少しでも多く仕入れていただくために交渉するのが大変でした。


 相手に電話をしてその場を設けていただけるのはまれで、売り場に張り付いて話せるタイミングを待つのが常でした。もちろん、注伝に承認印が欲しいのは私だけではなくライバルたちも同じ。みんな納品準備のため少しでも早くもらいたい熾烈(しれつ)な競争でした。注伝を会社に持ち帰って出荷の作業。急ぐ時は自分で値札をつけて車に積み込み、直接検品所に行くこともありました。通信技術が発達した現在では考えられない作業でしたが、あの月日が私自身を成長させてくれたと思っています。渋谷や新宿にある百貨店の検品所でモタモタして叱られたのも良い思い出です。


 僭越(せんえつ)がら、新しい世界に飛び込んだ新人たちに伝えたいことがあります。それは、一生懸命取り組むことに無駄なことは一つもないということです。嫌だなと思ってもやってみること。面倒くさい回り道でも歩いてみることです。「ちゅうでん」をインターネットで調べると「中伝」とありました。修行の半ばで授けられる伝授だそうです。まずは、「やってみなはれ」でしょう。



府中市長 高野律雄

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