府中市障害者活躍推進計画 令和3年4月から令和6年3月 府中市 はじめに 平成30年に、国の行政機関において、障害者雇用率制度の対象となる障害者の範囲に誤りが見られ、過去の障害者任免状況通報の内容について、全国的に再点検を行うよう要請がなされました。この要請を受け、再点検を行ったところ、本市においても障害者であることの確認方法に誤りがあり、法定雇用率を大きく下回っていることが明らかになりました。この事実を真摯に受け止め、公務部門においては、率先して障害者雇用を進めていかなければならないことを改めて認識した上で、令和元年度には障害者を対象とした非常勤職員の採用試験を新たに実施し、令和2年度には、これまで身体障害者のみを対象としていた常勤職員の採用試験において、知的障害者及び精神障害者も受験できるよう、受験資格要件の拡充を行い、障害者雇用の促進に努めてきました。 そのような状況の中、令和元年6月に障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され、障害者の活躍の場の拡大のための取組を不断に実施するなど、自律的なPDCAサイクルを確立できるよう、公務部門において、障害者活躍推進計画を作成することが義務付けられたことから、各任命権者との連名により、府中市障害者活躍推進計画を作成しました。 これまでの職員採用に係る取組に加え、本計画を実施していくことで、障害のある職員が活躍しやすい職場づくりや人事管理の推進、庁内における障害理解の促進を行い、障害の種別を問わず安心して安定的に働くことができる環境を整備していきます。 令和3年3月 府中市長 高野 律雄 府中市議会議長 横田 実 府中市選挙管理委員会 府中市代表監査委員 町田 昌敬 府中市教育委員会 1 計画の基本事項 (1)計画作成の目的 障害のある職員が有効に能力を発揮することができるよう、各職員がバリアフリー(注記1)やノーマライゼーション(注記2)の理念を理解した上で、その障害特性に応じた職場づくりを目指します。安心して安定的に働くことを可能とすることで、すべての職員が活躍できる職務環境の整備を図り、もってより良い行政サービスを提供します。 注記1 物理的な障壁のみならず、社会的、制度的及び心理的な全ての障壁に対処するという考え方。 注記2 障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、ともに生きる社会こそノーマルな社会であるという考え方。 (2)計画の作成主体 本計画の作成主体は、府中市長、府中市議会議長、府中市選挙管理委員会、府中市代表監査委員及び府中市教育委員会です。 計画の作成に当たっては、人事部門、財政部門、施設部門、情報管理部門、福祉部門及び各行政委員会の職員などで構成する障害者活躍推進計画作成等検討委員会を設置し、各任命権者が連携しながら作成することで、市全体として障害のある職員の活躍を推進していきます。 (3)計画期間 計画期間は、令和3年4月1日から令和6年3月31日までとします。 毎年度、目標の達成状況や取組の実施状況を点検し、障害者の活躍推進をめぐる状況の変化等に柔軟に対応できるよう、随時計画内容の見直しを行います。 (4)計画の周知・公表 作成した計画は、職場内で共有できるよう周知するとともに、市のホームページで公表します。また、計画の変更を行った際も同様に周知・公表を行います。 2 障害者の雇用の現状と目標 (1)本市の現状 障害者雇用の状況については、厚生労働大臣に毎年任免状況を報告しています。令和2年6月1日時点における府中市の障害者雇用人数は30人(注記3)であり、実雇用率は1.71%です。法定雇用率である2.5%(注記4)(令和2年6月時点)を下回っており、法定雇用率を満たすためには43人雇用している必要があるため、さらに13人の障害のある職員を雇用する必要があります。 注記3 実雇用人数ではなく、任免状況を報告するために、障害等級等により換算した人数となります。 注記4 令和3年3月に法定雇用率は2.6%に引き上げられています。 ア 職員採用試験の実施状況(障害者対象) 常勤職員 平成18年度から実施しています。当初は身体障害者のみを対象としていましたが、令和2年度に実施した採用試験からは、身体障害者に加え、精神障害者と知的障害者も受験できるよう受験資格要件を拡充しています。 非常勤職員 令和元年度から実施しています。すべての障害者が受験可能です。 (令和元年度は嘱託員、令和2年度以降は会計年度任用職員) 職員としての定着状況に関して、障害のある職員は平均在職年数が短いことが課題となっています。働きやすい環境を整備し、在職年数を伸ばすことができれば、法定雇用率の達成にも繋がっていくため、障害のある職員が活躍できるよう取り組んでいく必要があります。 また、新庁舎の建設が予定されていますが、現庁舎においては、段差があるなどバリアフリーが行き届いていない部分があるため、整備の検討を行う必要があります。 イ 平均在職年数の比較 常勤職員 障害のある職員(注記5) 1年4か月(これまでの全退職者) その他の職員 9年8か月(令和元年度中の普通退職者) 非常勤職員 障害のある職員(注記5) 0年6か月(これまでの全退職者) その他の職員 (注記6) 4年2か月(令和元年度の年度途中退職者) 注記5 障害のある方を対象とした職員採用試験において採用された方 注記6 任期満了に伴う退職者は除く。 (2)計画の目標 採用に関する目標 目標:各年6月1日時点の実雇用率を法定雇用率以上とする。 評価方法:厚生労働大臣に報告している任免状況通報により把握する。 定着に関する目標 目標:職務環境を理由とした不本意な離職者を極力生じさせないよう努める。 評価方法:適宜ヒアリング等により勤務実態を把握するとともに、毎年の任免状況通報の際に、人事記録をもとに採用者の定着状況を把握する。 仕事の満足度・やりがいに関する目標 目標:本計画においては、次期計画作成時における数値目標を定めるための満足度等に関する情報を収集し、実態把握に努める。 評価方法:毎年、6月1日時点で在職する障害のある職員に対して調査を実施し、満足度や障害特性に応じた必要な配慮等の状況の変化を確認する。 3 障害者活躍に向けた取組内容 (1)活躍推進体制の整備 ア 組織面 障害者雇用推進者の選任 障害者雇用推進者として、政策総務部職員課長を選任します。 人事的な面から障害者雇用の推進及び継続を図るために選任するものであり、令和元年12月に選任済です。 障害者職業生活相談員の選任 障害者職業生活相談員として、政策総務部職員課人事係長を選任します。 人事的な面において、障害のある職員からの相談及び支援を行うために選任するものであり、令和元年12月に選任済です。 相談窓口の設置 障害のある職員が相談しやすい体制を整備するため、豊富な職務経験を持ち、適切な対応ができる相談員を選任の上、相談窓口を設置し、職員に周知します。 相談窓口については、障害者職業生活相談員とも連携しながら対応できるよう、設置体制を検討していきます。 障害者活躍推進計画作成等検討委員会の設置 計画の作成や見直し及び実施状況の点検のため、障害者活躍推進計画作成等検討委員会を設置します。 イ 人材面 講習の受講 障害者職業生活相談員に選任された者(選任予定の者を含む。)は、東京労働局が開催する障害者職業生活相談員資格認定講習を受講することとします。 研修の実施 障害やノーマライゼーションの理念、障害者就労等についての理解を 深めるため、各課の職員が参加する研修を実施し、職場全体で適切な支援を行うことができるよう、人材育成の強化に努めます。 (2)職務の選定と創出 定期的な業務状況の把握 所属長等による原則年2回以上の面談や、職員課による調査を実施し、障害のある職員と業務の適切なマッチングができているか点検を行い、配置や担当業務の変更を行うなど、適切な措置を講じます。また、内容に応じて、東京労働局等の就労支援機関につなぎ、職務の選定・創出を行います。 障害特性に応じた配属先 障害のある職員を採用する際には、面接等で確認をした障害特性に応じた職務の選定・創出を行い、適切な配属先を決定します。 (3)職務環境の整備 施設等の整備 管理する施設の整備に当たっては、どのような設備が必要とされているのかを把握した上で、有効性、即効性の観点から、段階的に整備の検討を行います。 支援機器の整備 障害のある職員からの要望を踏まえ、就労支援機器(読み上げソフト、筆談機器など)の購入を検討します。 職場内における環境整備 所属等において日頃から声掛けを行い、必要な配慮等を把握して適切な措置を講じるとともに、相談しやすい環境を整えます。 異動時における配慮 異動時には、障害のある職員本人の希望を踏まえ、所属長間で必要な配慮や障害特性等に関する情報共有を行い、新しい職場においても不安を感じることなく、円滑に仕事を始められるように対応します。 なお、措置を講じるに当たっては、障害のある職員の要望を踏まえつつも、市や所属職員にとって過重な負担にならない範囲で適切に実施します。 (4)職員の募集・採用 受験資格要件 募集・採用に当たっては、次の取扱いは行わないこととします。 ・特定の障害を排除し、又は特定の障害に限定する。 ・自力で通勤できることとする条件を設定する。 ・介助者なしで業務遂行が可能とする条件を設定する。 ・就労支援機関に所属・登録しており、雇用期間中支援が受けられることとする条件を設定する。 ・特定の就労支援機関からのみの受け入れを実施する。 働くイメージが湧くような募集方法 採用試験実施時に、実際に働いている障害のある職員の活躍状況や、受験者へのメッセージを発信する等、働くイメージが湧くような募集方法を検討し、応募しやすい環境を整備します。 採用試験時の配慮 採用試験にあたり、障害のある受験者からの要望を踏まえ、面接における手話通訳者を配置するなど障害特性に配慮した選考方法を実施します。 障害特性に応じた柔軟な勤務形態の検討 障害のある方を対象とする非常勤職員(会計年度任用職員)の募集に当たっては、常勤職員と比較し、1日の勤務時間や週の勤務日数を短くするなど、様々な障害特性に対応できる勤務形態を検討します。 (5)柔軟な働き方やキャリア形成の支援 休暇制度等の活用 時間を単位とした年次有給休暇の取得や、時差勤務を活用する等、障害特性に応じた働き方を促進します。なお、障害に起因する治療やリハビリを受ける場合には、条件を満たした上で病気休暇の取得が可能である旨を周知し、職務継続への安心感につなげていきます。 キャリア形成の支援 仕事の満足度に関する調査や原則年2回以上の定期的な面談を通じて、本人のキャリア形成に関する希望を把握し、可能な範囲で、その実現に資する職務選定につなげます。また、本人の希望等も踏まえつつ、実務研修や能力向上研修等を実施します。 (6)その他の取組 中途障害者への取組 在職中に疾病・事故等により障害を有することになった中途障害者に対して、円滑な職場復帰のために必要な職務選定や通院への配慮を行い、障害特性に応じた職場環境面からのサポートをしていきます。 就労パスポートの活用 本人が希望する場合には、就労パスポートの活用等により、就労支援機関等と障害特性等についての情報を共有し、適切な支援や配慮を講じます。 ※就労パスポートは、障害のある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを就労支援機関と一緒に整理し、就職や職場定着に向け、職場や支援機関と必要な支援について話し合う際に活用できる情報共有ツールです。 優先調達の推進 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律に基づく障害者就労施設等への発注等を通じて、障害者の活躍の場の拡大を推進します。 府中市障害者活躍推進計画 令和3年3月発行