広報ふちゅう 令和8年(2026年)1月1日号 第 2089 号 つながりで広がる幸せ 発行:府中市 編集:政策経営部秘書広報課 〒183-8703(個別郵便番号) 府中市宮西町2の24 電話:042-364-4111(代表) FAX:042-366-1457(府中市の市外局番は042) ホームページ: https://www.city.fuchu.tokyo.jp/ 新春対談 つながりで広がる幸せ ウェルビーイングってなに?  「ウェルビーイング」とは、どのような考え方なのでしょうか。今回は、「ウェルビーイング」をキーワードに、高野市長と「ウェルビーイング100 by オレンジページ」編集長で、府中市在住の前田洋子さんが語り合いました。  日々の小さな実践や地域とのつながり、そして一人ひとりの居場所づくりが、まち全体の豊かさへと広がっていきます。 前田洋子さん 武蔵野市出身、2022年から府中市在住。女子美術大学卒業後、企業内デザイナーを経て出版業界へ。女性誌や美術全集の編集を担当し、1995年に株式会社オレンジページ入社。美容雑誌編集長、企業タイアップ編集長、「オレンジページ」副編集長等を歴任。2021年から「ウェルビーイング100 by オレンジページ」編集長として、暮らしの質を高め、よく生きるための情報発信に取り組んでいる。 ウェルビーイング100 byオレンジページ  こころもからだも気分良く過ごすための生活文化を育む、人生100年時代のライフデザインメディア。食や健康等、様々なテーマで、自分らしい幸せや暮らし方を考えるきっかけを提供している。 高野市長:最近よく聞くようになった「ウェルビーイング」という言葉ですが、どのような意味なのか教えてください。 前田さん:ウェルビーイングは、心と体、そして社会的にも満たされた心豊かな状態のことです。不安がなく満ち足りた状態、充足感と言ってもよいかと思います。人だけでなく、地域や社会全体にも使われる言葉で、誰もが安心して暮らし続けられる環境づくりを目指す考え方です。この状態を暮らしの中で実現するヒントを届けたいと思い、Webメディア「ウェルビーイング100 by オレンジページ」を立ち上げました。人生100年を気分よく暮らすためにはどうしたらよいかを考えるきっかけになるような発信をしています。 高野市長:とても素敵な取組ですね。「ウェルビーイング100 by オレンジページ」では、生活の提案をそれぞれの考え方や個性に合わせて発信されていますが、人それぞれ違っていいですし、いろんな輝き方があっていい。そうした多様な価値観を前向きに受け止めることが、ウェルビーイングにつながるということでしょうか。 前田さん:ウェルビーイングには2つの見方があります。1つは「客観的ウェルビーイング」で、社会的にも家族にも恵まれているなど、外から見て「心配なさそう」と思われる状態です。もう1つは「主観的ウェルビーイング」で、客観的な見え方に関係なく「私は幸せだ」と感じる、自分の心の状態です。たとえ恵まれた環境にあっても、本人が幸せを感じないこともありますし、病気を抱えていても「生きている幸せ」を感じる人もいます。 高野市長:心と体と社会のバランスがとれた幸せな状態である、ということですね。確かに、朝、誰かに「おはようございます」と挨拶することは、心が安定しているからこそできることですよね。気持ちに余裕がないと挨拶も難しい。反対に、誰かに声を掛けてもらって心が温かくなる瞬間も、ウェルビーイングにつながりますね。 前田さん:高野市長はお仕事柄、毎日たくさんの方とお会いすると思いますが、挨拶は、誰かと会わないとできないことです。社会とのつながりを自然に感じられる瞬間ですね。 高野市長:けやき並木通り等で市民の方から声を掛けていただくこともよくあり、とてもうれしいです。仕事以外でも、毎日の犬の散歩で、飼い主同士で顔見知りになって挨拶を交わしていますね。それと、健康のために生野菜ジュースを作って飲んでいるのですが、その材料を買いに仕事帰りにスーパーに行くと、そこでご近所の方にお会いすることもあります。 前田さん:そうした日常の交流も、高野市長のウェルビーイングにつながっているのでしょうね。 高野市長:スーパーで買い物をすると、旬の食材を知ることができたり、気候変動による農作物の影響を考えたり、物価高を実感したり、色々な発見がありますよね。 前田さん:散歩や買い物は、仕事以外での外出にもつながりますし、家事をすることは、老後も自立した生活を送るための訓練にもなります。日頃から地域と関わりを持っておくことで、自分が困ったときに助けを求めることができるようにもなると思います。 高野市長:府中市でもひとり暮らしの高齢者が増え、10年間で約30%増加しています(※1)。市のプロモーション動画でも描きましたが、ひとり暮らしの方こそ、積極的に地域とつながりを持っていただきたいと思っています。身近なところに、温かく迎えてくれる交流の場がたくさんあります。 前田さん:何か用事があると外に出るきっかけができ、それが人との出会いや、教養・学びにもつながっていきますよね。ご近所の方がカラオケ教室に通っていて、とても楽しそうです。 高野市長:府中市では、歌を歌う教室やイベント等も人気です。歌を歌うことは、声を出して心身の健康を保つだけでなく、フレイルの予防にもなるそうですね。また、参加することで新しい仲間ができ、みんなで歌う楽しさを知ることができるのはすばらしいことだと思います。 前田さん:仲間と一緒に歌ったり体を動かしたりすることで、心も体も元気になれるのがうれしいですね。また、交流の幅が広がり、新しい趣味に挑戦するきっかけにもなりますね。地域のつながりというと、広報ふちゅうで「わがまち支えあい協議会」の取組を知りました。今まで暮らしていたまちではこうした活動に触れることがなかったので、良いまちに引っ越して来たなと思いました。 高野市長:府中市には、高齢者福祉館と公民館と児童館を複合した文化センターが11あります。文化センター圏域ごとに、地域の皆さんが日々の生活の中で抱える様々な困りごとを共有し、地域で解決策を考える場が「わがまち支えあい協議会」です。社会福祉協議会や地域のボランティアの方に調整役を務めていただいています。 前田さん:そういう場があって助けてくれる人たちが身の回りにいると、いざという時も大丈夫だと思える安心感につながりますよね。今は個人情報やプライバシーの観点から、隣人のことを知らないことがあります。私はご近所同士で、「どうしたの?」「体調はどう?」と声を掛け合える関係性がありますが、「余計なことかな?」と思っても気になる方がいたら声を掛けるくらい、少しお節介でいいと思っています。そして、ちょっとした手助けや声掛けに「ありがとう」と返すことで、気持ちが温かくなります。こうした感謝の積み重ねが、まち全体のウェルビーイングの実現につながると思います。 高野市長:私もそう思います。まち全体のウェルビーイング向上のためには、少しずつみんながお節介になり、一声掛けてくれることで、家庭内のトラブルが解消に向かうこともあるかもしれないですし、病院に行こうと思うきっかけになることもありますよね。市民の皆さん同士がつながることで、このまちでずっと暮らしたいと思っていただけると私もうれしいです。前田さんは、実際に府中で暮らしてみて、どんなところに魅力を感じていますか? 前田さん:都会的でコンパクトにまとまっていて、緑もあり、落ち着いたまちの表情が気に入っています。大國魂神社の重厚感も、まちの雰囲気に特別な存在感をもたらしていると思います。 高野市長:まちの真ん中にけやき並木と大國魂神社があることが府中ならではの個性です。また、祭りも府中の魅力の一つで、夏に各所で行われている盆踊りも、最近は若い方やお子さん、外国の方の参加が増えてとてもにぎわっているんですよ。府中音頭や炭坑節だけでなく、最近流行した曲等も取り入れて、多世代が一緒に踊る光景が増えています。 前田さん:盆踊りで様々な世代の方の交流が生まれるのはいいことですよね。地域の居場所づくりのきっかけにもなると思います。 高野市長:スポーツも、世代や国籍を超える交流を生む力があると感じています。府中市は東芝ブレイブルーパス東京と東京サントリーサンゴリアス、2つのラグビートップチームの活動拠点となっています。昨年、リーグ優勝した東芝の優勝パレードがけやき並木通りで行われましたが、市内外からたくさんの方が集まってチームを祝福し、とてもにぎわいました。 前田さん:私も決勝戦を国立競技場で観戦しました。今は東芝もサントリーも、両チームともに海外出身の方がキャプテンですし、ラグビーは体の大きさに関わらずそれぞれのポジションで力を発揮できる、多様性を体現したスポーツですよね。個性を尊重しながら力を合わせることで、誰もが主役になれることは、地域社会における幸福のかたちにも通じるものがあると感じます。 高野市長:昨年開催された東京2025デフリンピックは、市内全ての小・中学校から児童・生徒が観戦しました。会場では、子どもたちが手話で選手を応援する姿も見られ、コミュニケーションの幅が広がるきっかけになりました。こうした経験を通じて、子どもたちは多様な価値観を受け入れ、互いを尊重し合う力を育んでいます。これからの府中のまちづくりにとって、こうした学びや気付きがウェルビーイングの広がりにつながる大切な要素だと思います。 前田さん:地域のイベントやスポーツ等、様々な場面で人と人がつながり、互いの個性を認め合うことが、府中のまちをもっと豊かに、さらに住みやすくしていくのですね。 高野市長:普段から声を掛け合えるような地域のつながりがあると、地震等の災害が起きたときにも自然と助け合えると思います。まち全体のウェルビーイングは大きな目標で、行政だけで達成できるものではないと思っています。 前田さん:便利さや経済的な豊かさだけでなく、「幸せだ」と感じながら暮らせるまちに住み続けたいと思いますよね。 高野市長:暮らし方や働き方等を自分のライフスタイルに合わせて選び、安心して暮らせる柔軟なまちであることが重要です。市民の皆さんのウェルビーイングは、地域や企業と力を合わせて実現していくものだと考えています。新しい年も、その輪を広げていきたいですね。 撮影協力 culture house148ゆめたま(紅葉丘2の29の7)  玉川石材工業株式会社旧館である、築約100年の歴史ある建造物を生かし、人々が気軽に集い、学び合える「学べるカフェ」として2020年にオープン。現在はカフェやレンタルスペース、自主学び場、フリースクール、民間学童保育等、子どもから大人まで多世代が交流できる5つの機能を備えている。