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清水登之《チャイルド洋食店》

最終更新日:2020年7月17日

画像 チャイルド洋食店

しみずとし ちゃいるどようしょくてん
大正13年(1924年)キャンバス、油彩
91.3センチメートル×76.0センチメートル

 栃木県出身の清水登之は、20歳で単身アメリカに渡って各地を労働者として転々としました。シアトルではフォッコ・タダマの画塾に入り画家としての道を歩み始めますが、後にニューヨークに移ってアート・ステューデンツ・リーグに入り、ジョン・スローンなどに師事しました。清水は一時帰国してから再渡米し、ニューヨークで制作しています。本作はアメリカ滞在の最後を飾る秀作の一つです。
 作品の年記には「1923」とありますが、日記によると実際に完成したのは翌年2月のようです。作品は、3月のニューヨークの第8回インデペンデント展に出品され、同年パリに渡って10月のサロン・ドートンヌにも出品されています。清水はヨーロッパを巡って帰国し、日本でも名声を高めました。その後、独立美術協会の創設に加わり、晩年は吉祥寺で暮らしています。
 画面上方に「Childs」の白い文字が浮かび、右下では子どもが手を当てて、焼けるパンケーキに見とれています。外側からガラスごしに店を覗いている構図です。ウェイトレスが忙しそうに立ち働き、奥にはコックやレジの男の姿が見えます。店内は老若男女の客で賑わっています。素朴で単純化された造形とともに、店員の制服、客のコートやドレスが華やかな色彩の輝きをみせ、モダンな都市生活の一瞬をいきいきと再現しています。日記にも「全体ノ色彩配列ヲ音楽的ニシタ 色彩配列ノ面白味ハ充分アル」とあり、画家も色彩の効果には苦心したようです。
 日記によれば、チャイルド洋食店は、実際にタイムズ社の向い側にあったらしく、タイムズスクエアまで研究のために繰り返し出かけたことが記されています。第一次大戦後の不況をのりこえて好景気に入っていた時期で、酷寒のマンハッタンでも庶民の懐には暖かさが戻ってきていました。活気づく店内の様子に、そんな世情すらうかがわせる清水の代表的作品です。

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