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第15回 児童福祉費の保育分野の状況(広報ふちゅう 平成27年12月21日号掲載)

最終更新日:2016年4月21日

 本市の待機児童数は、現在、多摩地域で最も多く、都内では3番目に数が多い状況です。
 (こん)号では、児童福祉費の保育分野の状況についてお知らせします。

保育所の状況

 市の保育所は、大きく市立保育所と私立保育所等に区分され、表1のとおり、市立保育所は平成18年に16か所となってから増設はない一方で、私立保育所は現在では26か所、認可外保育施設は19か所となり、平成19年度と比較して合計で17か所増えています。
 これは、表2のとおり、平成21年度には300人を超えるなど待機児童数の増加に対応したものです。こうした背景のひとつに、未就学児童数が増えていることがあげられます。特に、0歳から3歳までの児童数は平成23年までは伸び続けている状況でした。大型マンションの建設や共働き世帯の増加など社会的・経済的背景もあり、保育所の利用を考える家庭が増えていることに対応するため、保育所の新設補助やサービスの拡充など様々な施策を行ってきました。 しかしながら、平成27年度に待機児童数は352人となり、待機児童の解消に至らない状態から抜け出せないことが喫緊の課題となっています。

待機児童解消への取組みから見る市財政への影響

 表3のとおり、市立保育所の運営などにかかる費用はここ数年間、約9億円とほぼ一定である一方で、私立保育所等の運営などにかかる費用は、年々伸び続けている状況
です。平成26年度と平成19年度とを比較すると、施設数の増加に伴い、約20億円増となっており、市税などの一般財源の負担も増えている状況です。
 市では、これまでも利用者の負担を軽減するソフト面においても充実を図ってきました。その結果、表4のとおり、私立保育所等の運営に係る市税などの一般財源は、平成
26年度と平成19年度とを比較して約10億円の増となり、国・都支出金の伸びもありますが、運営費の増は市の一般財源においても負担増となっていることが分かります。一方、保育料は2億円の増に(とど)まっています。これは、本来利用者が負担する分を市が補てんし、利用者の負担を軽減しているためです。例えば、私立保育所の入所運営費は、本来、国負担金、都負担金、市負担金、保育料で賄われる仕組みとなっていますが、表5のとおり、本来は保育料として利用者負担とする分を、市一般財源により補てんしているものです。その負担は、事業費の増に比例して、公費分の市負担金の増と同時に利用者負担の補てん分も増えるため二重の負担となっています。こうした利用者負担への軽減や市独自事業が市財政に与える影響は年々増している状況です。

児童福祉費から考える健全財政への道

 2回にわたり児童福祉費の状況についてお知らせしてきました。我が国は、4人に1人が65歳以上の高齢者となり、様々な社会保障経費への影響が叫ばれています。支える人が減少し、支えられる人が増加すれば、支える側のどこかに負担が生じるのは必至です。国は、消費税率引き上げを行い、その一部を社会保障経費に使うことで対応することとしています。
 一方で本市の状況は、高齢化率は約20%で26市の中においても低い水準にありますが、子どもの増加とともに子どもに係る経費は増加し続けています。その中でも、手当や医療費などの子育て支援分野と待機児童の解消に伴う保育分野の扶助費に係る経費の増加が著しく、財政面に与える影響も大きくなっています。
 こうした中、市では、限られた財源を有効活用しながら健全財政を堅持していくために、新たな財源の確保、市税などの収納率の向上、時代のニーズに合った施策、サービス水準の見直しなど歳入歳出の両側面から見直しを図り、財源の捻出など行財政改革に努めています。
 市では、現在15か所ある公設公営の市立保育所のうち、6か所に機能を集約し、地域の子育て支援の中核施設としての役割を担い、残りの9か所に民間活力の導入を実施することで、定員枠を減らさずに、民間事業者の機動性と柔軟性を生かすことにより、質の高い保育サービスを提供しながら、保育所の効率的な管理運営の取組みを進めているところです。

注記:表の各数値は、決算の状況などを独自に集計したものであり、一般会計、または普通会計決算とは異なる場合があります。

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