2018年3月11日　市長コラム70　「卒業旅行」

学校の最終試験が終わって卒業が決まり、就職するまでの間に個人や友人などと旅することを卒業旅行と呼ぶようになっています。私も34年前に米国のアトランタへ日本人の友人を訪ねる一人旅をしました。滞在は2週間程度で、以後かなりの時間が経過していますが、鮮明に覚えているシーンが多々あります。

友人は語学留学でしたので、世界各国から集まる二十歳前後の若者との出会いが多くあり、みんなと仲良く過ごす時間もだいぶありました。強く記憶に残っているのはレバノン人で、見せられた自身の写真は十代前半の戦闘服姿。なんと肩に機関銃を掛けたものでした。激しい内戦は少年たちをも兵士にしていたのです。住む場所を追われて家族はバラバラになり、幸いにも留学させてもらっているとのことでしたが、パリに住むママと泣きながら電話する様子に胸が痛みました。

シカゴ・オヘア空港での乗り換えや日本人ただひとりの国内線がとても心細かったこと、郊外の大農場の片隅で奴隷制度の名残を感じさせる納屋に複雑な思いを持ったこと、同じ顔で母国語が同じに聞こえる韓国人と日本人がなぜ英語で話すのかと言われたことなどもよく覚えています。世界を知り、自国を知り、平和の尊さを学ぶ人生の糧になった旅でした。恵まれた環境を与えてくれた両親に感謝です。