公開制作92 栗原一成
最終更新日:2025年3月26日
KURIHARA Issei Open Studio Program
《祠》2024年 油彩、キャンバス
栗原一成(くりはら いっせい、1967年生まれ)は、30年ほどの長きにわたって、絵を描いてきました。その画面には、風景のような形や、文字の連なりにも見える線が、鮮やかな色彩を伴って、ぎっしりと描き込まれています。いつどこで始まり終わるのか、捉えどころがなく、また時間と空間が混沌と混ざり合っているかに感じられます。
近年栗原は、哲学対話に積極的に参加しています。彼は参加者たちの対話を聴きながら手を動して描き、同時に対話に加わります。制作と思索、手と目が絡まり一旦絡まり、そこから一本の糸の端が引き出されるようにして、哲学的思考が生まれます。
今回の公開制作で栗原は、板とキャンバス(布)の両方を用意して、その上に描いていきます。板とキャンバスの画面は違うが、同じでもある、と栗原は語ります。異なる物質が、描きの途中で、物としての意味を無化されていく。そこでは意味にしばられない自由が得られ、彼が絵筆を動かす原動力を生み出しているのかもしれません。
寡黙な画家の、饒舌な手の動きにどうぞご注目ください。
作家コメント
板に描くこととキャンバス描くことは違うとも言えますし、同時に同じとも言えます。
描く行為にとっては、板やキャンバス、また他のどんな物に描いたとしても違いはなく同じものになります。つまり、違いを明確にする意識は、ものの意味を見い出すことになり、違うものを同じとする意識は、ものを無意味化していくのです。わたしは、意味世界を受け入れつつ、矛盾しながらも同時に無意味世界も受けとめ絵を描くのです。
会期 2025年4月26日(土曜日)から9月7日(日曜日)
場所 公開制作室 観覧無料
開館時間
午前10時から午後5時
休館日
月曜日(5月5日、8月11日は開館)
5月12日(月曜日)から24日(土曜日)、7月14日(月曜日)から25日(金曜日)、8月12日(火曜日)
制作協力
DUSTBUNNY LLC.
公開制作日時
いずれも正午から午後5時まで
4月26日(土曜日)、27日(日曜日)
5月4日(日曜日)、31日(土曜日)
6月1日(日曜日)、14日(土曜日)、15日(日曜日)
7月12日(土曜日)、13日(日曜日)
8月2日(土曜日)、3日(日曜日)、16日(土曜日)
作品展示
8月23日(土曜日)から9月7日(日曜日)
土日の午後1時から午後5時までは、当館普及員によるガイドがあります。
哲学対話「画家と一緒に哲学対話・Art & Philosophy」
■日時 6月28日(土曜日)午後1時から4時半まで
■場所 創作室
■定員 24名(対話参加者12名、見学のみ12名)
■対象 中学生以上(一般の方も歓迎です)
■講師 田坂さつき(立正大学文学部哲学科教授)
木原志乃(國學院大學文学部哲学科教授)
栗原一成(画家)
■内容 画家がライブペイントを進行する空間で、哲学者がファシリテーターとなり、
美術に関わる哲学対話を行います。
■追記 「Art & Philosophy」では、哲学研究者がファシリテーターとなり、哲学の文章読解を出発点にして、参加者と 画家が哲学対話を行います。参加者が制作に加わることもあります。制作と対話が同時に進行し、制作の過程に潜む問いを解明していくことで、「美術とは何を目指したどのような営みであるのか」について、言葉と行為を通して考えます。
■申込方法 6月12日(木曜日)まで(必着)
*応募者多数の場合は抽選
■往復はがきでのお申込み
往復ハガキ(1人1枚)に住所、氏名(ふりがな)、年齢、電話番号、
返信用宛名、参加の別(対話か見学か)を記入して、当館「哲学対話」係へ
(府中市美術館:〒183-0001 東京都府中市浅間町1-3)
■電子申請はこちらから(外部サイト)
アーティストトーク
■日時 8月30日(土曜日)午後2時から
■場所 講座室
■定員 60名(予約不要 当日直接会場まで)
■参加無料 先着順
■ゲスト 石田尚志(美術家)
■内容 ライブペイントを共同で行なうなど、絵に対しての思いを共有する同世代の画家を迎えて、
対談形式で行います。
《異言》2024年 アクリル、板
栗原一成(くりはら いっせい)
1967年神奈川県生まれ。1995年多摩美術大学大学院美術研究科修了。1990年代半ばから作家活動を始める。展覧会やパフォーマンス等を独自に開催する場である、オルタナティブスペースの運営を継続して行う。絵画制作に対する哲学的態度は、哲学者たちと行う「哲学対話」でさまざまな問いと回答を引き出してもいる。
公開制作92 栗原一成 チラシ
公開制作92 栗原一成 チラシ
(PDF:14,699KB)
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