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第3回 「都電に乗り、歩く」

最終更新日:2021年1月13日

「都電」車両を描いたスケッチです
藪野健画「都電」(上:乙貨物、中:7500型、下:6000型)

三ノ輪橋から早稲田まで12、2キロ都電が走っている。
藪野健

 授業で江戸東京の話をした時、学生の多くが実際に行ったことがないという。そこで東京の白地図を渡して、一週間の行動を記入してもらうことにした。ほとんどが家と学校の行き来で、それに盛り場が時折加わる記録が多かった。即その授業では外に出て歩くことにした。停留所を一つずつ降りたり目的を絞ったりで、組み合わせは広がった。都電の路線はかつての江戸の外郭を結んでいるので、いわば異次元空間でもある。江戸の行政区分の「墨引き」と宗教区分の「朱引き」を行くことになるので、都市の多重構造に実際触れられ好都合である。歩いても歩いても、なかなか全体が捉えられない。そこで立ち止まり描き、町の方々の話を聞き、さらに土地の名物を食べることにした。身体、ことに胃の記憶が素敵だ。何よりも生涯忘れない。

 地図は1984年から2002年にかけて少しずつ描いた。他大学の学生も加わり、また先生方やOBも一緒に歩いた。
 都市と社会の関係を読み解くには、多くの専門の方々と歩くのが一番だ。法政大学の陣内秀信さん(建築史)、慶應義塾大学の田中亮三さん(英文学、英国貴族の館研究)、作家の井上明久さんから始まった。歩きに歩き、語るに語った。

 早稲田集合で三ノ輪橋下車。商店街で全員コロッケ食べることにした。揚げたてをほうばることで出席となる。そして日光街道に出てまず、洋館を見て、その日の「東京の町歩き」が始まった。

藪野健画「都電に乗り歩く」地図。1994から2002年

藪野健画「ある日歩きながら食べた一覧」

藪野健画「旧古山医院」台東区根岸。1997年6月25日

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