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河野通勢《Portrait of a woman》

最終更新日:2020年7月17日

画像 Portrait of a woman

こうのみちせい ぽーとれいと・おぶ・あ・うーまん
大正13年(1924年)キャンバス、油彩
77.2センチメートル×69.センチメートル

 草の生えた赤土の岩場に横向きに腰掛け、上半身をねじり斜め前方を見ている女性。赤いリボンが付いた、緑色の巨大な帽子を被り、厚手の茶色い上着を着て、大きくてたっぷりしたグレーのスカートをはいています。異国的な衣装や少しカールがかかった茶色い髪の毛や色白の顔からみるとヨーロッパ婦人なのでしょうが、どこか東洋的な雰囲気も漂っています。しかし、最も奇妙なのは彼女が膝の上に置いて左手で口を隠している赤い壷でしょう。画面の真ん中やや右寄りに位置しているこの壷は、背景の青い空と濃緑の森も含めて陰影がそれなりに表現されている周囲と比べて、あまりにもプリミティヴ(素朴)かつ平面的で、かえって視線を誘うのです。
 河野通勢(1895-1950)は、長野生まれの洋画家で岸田劉生の主宰した「草土社」のメンバーとして知られています。昭和3年からは小金井にアトリエを新築し、戦後に亡くなるまでここに暮らし続けた武蔵野の作家でもあります。大正後期から古今東西の様々な小説挿絵の仕事を数多く手がけた通勢は、《ロココ風俗婦女閑遊之図》(大正11年)《竹林之七妍》(大正12年)など、17世紀フランスの「フェート・ギャラント(雅宴画)」や中国の「七賢」を引用、改変した東西混交の不思議な風俗油彩画を描いています。時代考証にうるさく研究熱心な通勢のことですから、「女性の肖像」というそっけない題名の付けられたこの絵にも、何かしら暗示的な意味が隠されているのではないでしょうか。

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