淺井裕介公開制作プロセス
最終更新日:2021年11月29日
公開制作82 淺井裕介「種を食べた美術館」(2021年7月24日から11月28日)の制作プロセスをご紹介します。
7月23日(金曜日)
公開制作が始まる前日、淺井さんの搬入を行いました。12mmと18mmの厚手の合板、水色のスタイロフォーム(断熱材)を、たくさん持ち込みました。ジグソーを使って曲線で切り抜き、ビスや接着剤を使って貼り合わせ、それらを組み合わせて立体を作り始めました。公開制作を開始する準備が整いました。
合板をカットして組み合わせていきます。
部屋の中央に立体が立ち上がりました。
7月24日(土曜日)
公開制作初日です。カットしたスタイロフォームを貼り合わせ、重ねて立体的にしていきます。接着剤で固定したあとに、カッターで角を削り落とし、形を滑らかにします。動物の頭部が形をあらわしてきました。
スタイロフォームに接着材を塗ります。
スタイロフォームを削って滑らかにします。
7月25日(日曜日)
部屋の中央に伸びる動物の頭部とともに、四足の動物も形を整えていきます。カッターのほかにも、熱線を利用したスチロールカッターも用います。動物の顔の表情もはっきりとあらわれてきました。
四足の動物も作り込んでいきます。
スチロールカッターで細部を整えます。
7月30日(金曜日)
水色をしたスタイロフォームで作った動物を、白い塗料で塗りました。塗料には、ジェッソや土が混ぜられています。さらにその上に、茶色いテラコッタ粘土で肉付けします。粘土が乾いてはがれないよう、楊枝を打ち込んで固定します。
表面に白い塗料を塗ります。
テラコッタ粘土を固定します。
7月31日(土曜日)
テラコッタ粘土での成形とともに、粘土を水で溶いて彩色していきます。残ったスタイロフォームで、鳥の形を作ったりしました。また、床面にマスキングテープで植物のような文様を描いたりしました。
彩色するために粘土を溶きます。
筆で色をつけていきます。
8月1日(日曜日)
土をジェルメディウムと水で溶いて絵具を作り、筆で色をつけていきます。黄土色、赤茶色、こげ茶のようなさまざまな色味が生まれ、動物に生命を与えていきます。
動物の全体に色彩が塗られてきました。
筆で細かなところにも塗っていきます。
8月11日(水曜日)
色付けされた動物たちの調整をします。中央の大きな獣からマスキングテープを伸ばしていきます。ガラス面で止まらずに、模様を描きながらロビーにも広がってきました。
部屋の中にたたずむ動物たち。
マスキングテープが広がっていきます。
9月19日(日曜日)
制作予定日ではありませんでしたが、1か月ぶりに制作。鑑賞者が中に入って見られるよう、室内に空間を作り、マスキングテープの調整などをしました。2階で始まった企画展「動物の絵 日本とヨーロッパ」を訪れた方が立ち寄る姿も見られました。
作品のまわりをきれいにしました。
床のマスキングテープも整えました。
10月2日(土曜日)
さまざまな色をした自然の土に水とレジンを練り合わせ、オリジナルの絵の具を作り、筆を使って動物に色づけしていきます。色味が深く、バリエーションを生み出しているようです。
立体の裏側にも描いていきます。
持参した土で絵の具を作ります。
10月3日(日曜日)
立体の裏側に粘土で小さな動物を作ったり、壁に描いたりします。地元にある土を使って絵具を作るために、美術館のまわりで採取し、新聞紙に広げて乾燥させました。
採取した土を新聞紙に広げます。
小さな動物たちを作ります。
10月5日(火曜日)
エントランスランスロビーの太い柱に、マスキングテープを貼り、ペンで描いていく「マスキングプラント」を制作しました。動物の立体の表面に、土の絵の具で、細部の描き込みを進めていきます。
柱にマスキングテープなどで描きます。
訪れる人に作品を説明する淺井さん。
10月6日(水曜日)
動物たちの表面への描き込みを続けます。筆を加えることによって作品が引き締まり、一つひとつの作品の完成度が高まってくるのがわかります。
模様の密度が高まってきました。
念入りに筆を加えていきます。
10月18日(月曜日)
公開制作室と府中第十小学校の教室をオンラインで結び、6年生を対象とした授業を行いました。浅井さんの説明を聞いて、子どもたちが「マスキングプラント」を学校で作ります。授業のあとには、作品制作も続けました。
ウェブカメラに向かって説明する淺井さん
鉛筆で細部も描き込みます。
10月19日(火曜日)
細部の作り込みが続きます。立体の上、床や壁にも、小さな動物たちが増えていきます。完成が近づいて来ているようです。
床の面にも描いています。
裏側にも描き込みが進んでいます。
11月5日(金曜日)
完成をめざして全体に手が加えられます。途中、四足の動物をロビーに出したりしました。床の板にも模様を描きます。
動物の頭部にも筆を入れます。
粘土で植物のような突起を作ります。
11月6日(土曜日)
作品の描き込みや作り込みを行い、ほぼ作品が完成しました。道具や材料は片付け、作品の位置を整えて展示をしました。マスキングテープによる作品も広がっています。
床の板面にも動物を描きます。
部屋の道具や材料を片付けました。
11月13日(土曜日)
ワークショップ「黄金色の日常」を行いました。カメラも携帯も持たずに、美術館の周辺をゆっくりと散歩して、秋のひとときを作家と楽しみました。公開制作室では、普及員によるガイドが行われ、たくさんの観客が訪れました。
創作室にワークショップ参加者が集まりました。
公開制作室での作品展示の様子。
11月14日(日曜日)
講座室にてアーティストトークを行いました。作家のこれまでの活動や公開制作のふりかえり、現在取り組んでいるプロジェクトなどのお話がありました。床面のマスキングプラントの調整なども行いました。
アーティストトークで語る淺井さん。
たくさんの来訪者がありました。
11月27日(土曜日)・28日(日曜日)
公開制作最後の週末を迎えました。ロビーに伸びたマスキングプラントが成長を続けます。子どもたちも一緒にマスキングテープを床や壁に貼っていきます。最後にテープをみんなではがして終わりました。
ロビーに広がるマスキングプラント。
エントランスの外まで広がります。
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