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石川卓磨公開制作プロセス

最終更新日:2026年4月17日

2025年12月20日から始まった公開制作。ここでは、その過程をご紹介します。

最終日 3月21日

いよいよ公開制作も最終日を迎えました。部屋の中央にある机の上に、大きく印刷された写真と、小さな写真をまとめて印刷した紙が新たに置かれました。大きな写真のほうは、木の根が露出している地面に石の欠片が落ちているところを撮影したもののようです。石の側面は鮮やかな青色に塗ってあり、もともと何かの一部であったのでしょうか。もう一方の紙は、今回の公開制作のチラシの裏面に、公開制作中の石川さんの姿を写した写真がぎっしりとモノクロで印刷されています。さらにそのチラシの上には、大きな写真に写っていた石の欠片の現物がのっています。

3月20日

以前このプロセスの中でも紹介した、野外彫刻を分割して撮影した写真作品の真正面に、石川さんによる説明書きが付されました。説明によると、この作品は野外に設置されている彫刻を展示室内に再構成する試みのようです。また作品の前に置かれたままになっていた脚立について、作家の展示プロセスのインデックスである、と示されています。ホワイトボードには、また新たな作品が増えました。鮮やかな青色の紙が2枚、木の枝に絡まっているところを近くで撮影した写真です。この作品を含め、部屋の中に点々と展示された写真や資料はサイズとしては小さいものですが、ところどころ目をひく色が配置されています。

3月15日

公開制作室の前にはモニターが置かれており、そこにも作品が映し出されています。サンフランシスコ郊外の公園で高速連写した写真をもとに、コマ送りの映像を制作しました。公園とは思えない殺風景な土地に、ゴロゴロと大きな岩が転がり、腰の高さほどの枯れ草が放置されています。ブレた写真やピンボケしている写真が時折混ざり、撮影者がゆらゆらと歩きながら撮影していることが伝わってきます。中には脱ぎ捨てられた靴の写真もあり、一層不穏な雰囲気を印象づけます。

一方部屋の中も、徐々に作品で埋まってきました。制作期間も終盤に差しかかっています。先週まで展示されていたアリの行列のような写真は、別のものに変わったようです。構図はそのまま、カラフルな棒ではなくカラフルな折り紙が、列をなして公開制作室へ向かってきています。

2月21日、22日

2日連続の制作日を経た公開制作室は、どのように変化したでしょうか。一見すると大きな変化はありませんが、よく見ると、小さな写真が床近くの壁に点々と増えています。写っているのは木の幹や地面にあいた穴で、それぞれアリのような虫がいた気配を感じます。これらの写真は壁の巾木の上くらいに展示されており、よく見ようとすると、実際に地面を観察するときのようにしゃがまなくてはなりません。また印象の異なる写真が1枚、こちらは人の視線ほどの位置に貼ってあります。公開制作室の入り口の床を写した写真のようで、木の床と石の床の境界線が写っています。石の床にはチョークのような、カラフルで棒状のものが等間隔で並べられています。まるで公開制作室に入ってくるアリの列のようです。

2月15日

部屋の中に入らないと見えない位置の壁に、新たな写真が増えていました。同時開催中の企画展、小出楢重展のポストカードを館内の椅子の上で撮影したもののようです。また水場の上に貼られているのは、府中の森公園に生えているキノコの写真でしょうか。美術館の外にある風景が公開制作室の中に入り込み、美術館の内の風景もさらに公開制作室の中に入り込みます。二重三重の構造が部屋の中に展開されていくようです。

2月1日

公開制作室の奥に設置されたグレーのパネルには、3枚の写真が展示してあります。すべて木に関する写真です。1枚目は、鮮やかなオレンジ色の枝が太い木の幹の上に立てかけられているところ。2枚目は幹の皮がはがれ、ずれているところ。3枚目は、折れた枝に緑色のストローがはまっているところでしょうか。それぞれ、人の手が加わっているのか自然にこうなったのか微妙なところで、この状況に至る過程を想像してしまいます。ずっと眺めていると、うねうねと切り取られた木の皮は世界地図のようにも見えてきました。ストローの深い緑色は、木の枝といっしょに存在していると一瞬葉っぱのようにも見えます。

1月25日

前回の制作日に配置した物や写真も、日を追うごとに少しずつ移動したり/消えたり/姿を変えたりしているようです。壁に貼られていた立像の写真は腕の部分がなくなり、胴体のみ縦にまっすぐ残りました。新しい写真も増え、説明書きのような哲学的な文章が添えられています。ホワイトボードに貼られた図面は、公開制作室を描いたものでしょうか。黄色で塗りつぶされており、資料として机に置かれている図録の黄色と、また写真に写りこんだ金箔の色と呼応して目に飛び込んできます。

1月18日

机の上には、ぽつんと不思議な形の陶器があります。灰色のようなベージュのような色合いで、手のひらに収まるくらいのサイズです。丸みを帯びているので、今にも転がってしまいそうです。よく見ると割れており、何かの欠片かもしれません。部屋をぐるっと見渡すと、その陶器が写った写真が壁に貼られていました。写真の中の陶器は、府中市の地図の上に置かれています。そして写真の足元に置かれた椅子の上には、「航空写真測量に基づく府中の森公園及び周辺都市環境の多層的景観構造分析:軍事遺構から都市の緑の心臓部へ」とタイトルのついた資料が載っています。それぞれのイメージを組み合わせて想像を膨らませると、陶器が遺物のようにも見えてきました。

1月4日

公開制作室内には写真や資料が少しずつ増えていきます。何を撮っているか特定しやすいのは、美術館周辺に設置されている彫刻作品を撮影した写真でしょうか。立像を分割するように撮った写真は、壁に貼られ、もとのように組み合わされています。また美術館正面にある若林奮の彫刻作品《地下のデイジー》を真上から撮影した写真は、彫刻作品が地面に設置されていることを再現するように、床に置かれています。

12月27日

部屋に点々と貼られた/置かれた作品は、不思議な状況を写しています。プリンターの試し刷りのように見えるもの。葉っぱをピンセットで裏返し、葉脈を見せるようにしている手を撮影したもの。中には、府中市美術館の外壁に三角屋根の影が映りこんでいる写真もありました。

初日 12月25日

道具と作品の搬入が終わり、いよいよ公開制作がスタートです。部屋には、一見すると風景を写したかのような写真がいくつか並んでいます。制作に使用するであろうプリンターは、大きな存在感をはなっています。ガラスの壁にはグレーのパネルが設置され、作品を貼る準備ができました。

公開制作室で制作中の石川卓磨

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