歌川国芳 21世紀の絵画力
最終更新日:2017年4月20日
2017年の「春の江戸絵画まつり」では、江戸後期の浮世絵師、歌川国芳を取り上げます。ここ数年の国芳の人気ぶりは、同時代の葛飾北斎や歌川広重をしのぐ勢いでは、と思えるほどです。「なぜ今、国芳なのか?」 その答えを、国芳の作品の中に秘められた造形力や美意識に探る展覧会です。
《相馬の古内裏》 後期展示
《西塔鬼若丸》後期展示
明治時代以降、国芳は人気があったものの、美術史のうえでは、必ずしも高く評価されてきたわけではありません。作品には、余韻や情緒よりも、激しさやにぎにぎしさ、笑いが満ちあふれています。それが、浮世絵の歴史上「末期」「退廃期」と呼ばれてきた、19世紀という時期のイメージに重なり合ったせいかもしれません。明治時代に外国人から評価された北斎や、西洋のロマン主義的風景画にも響き合う芸術と賛美された広重とは違って、近代の日本では、国芳の卓越した描写力を前向きに受け取ろうとする人は少なかったようにも思われます。
しかし今、浮世絵ファンはもとより、日頃は日本美術にあまり関心のない人に至るまで、本当に多くの人たちが、国芳の作品に熱い眼差しを寄せています。そしてそこには、現代のイラストレーションやマンガを楽しむのに似た感覚も感じられます。「古いもの」の趣を味わおうという、いかにも身構えた鑑賞ではなく、日常の娯楽の一部としての「国芳画の楽しみ」が生まれているように見えるのです。
このたびの展覧会は、二部構成になっています。第1章の「19世紀の国芳」では、国芳の作品の成り立ちや当時のありようを紹介したいと思います。国芳が手がけたさまざまな仕事や、歌舞伎を題材にした一枚の絵が、どんなに夢いっぱいのものであったかなど、いくつかのポイントを取り上げます。
そして第2章は、「21世紀の国芳」。国芳の作品がどうして今輝いているのか、どんなところが現代人に訴えているのかを、造形の手法や題材、作者の心といった点から探ります。
前期・後期合わせて、およそ240点の国芳の作品をご覧いただきますが、代表作の多くを、摺りの状態、保存状態ともに非常に良質の作品によって味わっていただける機会となります。また、国芳の作品のほかに、円山応挙や亜欧堂田善、安田雷洲らの作品も展示いたします。創作の源泉や時代性という点からも、国芳の魅力をより身近に、深く感じていただけるでしょう。時を超えて現代の人々を魅了する国芳のすばらしい絵の世界を、ぜひお楽しみいただきたいと思います。
《きん魚づくし ぼんぼん》 前期展示
会期
2017年3月11日(土曜日)から5月7日(日曜日)
全作品の展示替えを行います。
前期 3月11日(土曜日)から4月9日(日曜日)
後期 4月11日(火曜日)から5月7日(日曜日)
休館日
月曜日(3月20日、5月1日をのぞく)、3月21日(火曜日)
開館時間
午前10時から午後5時(入場は4時30分まで)
観覧料
一般700円、高校生・大学生350円、小学生・中学生150円
注記:20名以上の団体料金は、一般560円、高校生・大学生280円、小学生・中学生120円
注記:未就学児の方は無料
注記:障害者手帳等をお持ちの方とその介助者1名は無料
注記:企画展観覧料で常設展もご覧いただけます
注記:府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」で無料
2度目は半額
観覧券をお求めいただくと、2度目は半額になる割引券が付いています。
注記:本展1回限り有効、他の割引との併用はできません。
主催 府中市美術館
注記:他会場への巡回はありません。
《猫のすゞみ》 前期展示
展覧会講座
国芳にとっての西洋画 現代人に教えてくれること
4月29日(土曜日) 午後2時より
講師:音ゆみ子(当館学芸員)
90分程度 当館講座室 聴講無料
ねこと特撮 国芳と私たちをつなぐもの
5月6日(土曜日) 午後2時より
講師:金子信久(当館学芸員)
90分程度 当館市民ギャラリー 聴講無料
20分スライドレクチャー
毎週日曜日 午後2時と3時の2回 当館講座室 無料
《逢性鏡 吉三郎》 前期展示
子供向けイベント「くによし探検隊!」
展覧会を見ながら「探検隊ワークシート」のクイズに挑戦。
観覧料が必要ですが、府中市内の小中学生は、「府中っ子学びのパスポート」で入場できます。
年齢制限はありませんので、大人の方の参加もお待ちしております。
会期中随時参加可能です。
特別出品《猫の左仮》
《猫の左仮》 4月19日より展示
本展覧会の会期中に、《猫の左仮》と題する作品が見出されました。かつてモノクロ図版で紹介されたことがありますが、実作品を見ると、配色が大変美しく、また、猫の絵を得意とした国芳の本領が発揮された優品であることがわかりました。更に、かねてから人気の高い《おぼろ月猫の盛》と関わりのある作品だと考えられます。
そこで、 本展覧会が、この貴重な作品を他の国芳の作品と併せて鑑賞できる有意義な機会であると考え、急遽、4月19日(水曜日)から展示させていただくことにいたしました。展覧会場では、《おぼろ月猫の盛》と並べてご覧いただきます。
当館にて、本展覧会の図録をお買い上げいただいた方には、別刷り(《猫の左仮》の図版と解説)を差し上げます。
4月18日以前に当館にて図録をお求めになった方で、別刷りを希望される方には、ミュージアムショップでお申し付けいただければ、その場で差し上げます。(会期終了後も受付いたします)
また、住所・氏名・連絡先電話番号を記載の上、メールまたはファクスでお申し込みいただければ、郵送いたします。発送まで1週間以上掛かることがありますが、なにとぞご了承ください。
メール bijyutu01@city.fuchu.tokyo.jp
ファクス(042-335-7576)
お申し込み先 府中市美術館 国芳展担当宛
展示予定表
歌川国芳 21世紀の絵画力 出品目録 (PDF:1,112KB)
展覧会チラシ
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このページは文化スポーツ部 美術館が担当しています。